気兼ねのない料理を、豊かな食卓で
世代を重ねながら増えていく器の中に、いつも何気なく手にとって使う器があります。それらは決して肩肘の張ったものではないけれど、確かな温もりを感じることができます。普段使いの器から感じられる豊かさとは何かを日用雑器の一大産地である美濃・瀬戸に探しに行きました。
そこには今も多くの食卓に届くだけの生産量を保ちながら絶やすことのない人々の仕事がありました。それぞれの器には人々が携わっていることの確かなしるしが刻まれ、それらは日々の食卓に豊かさを与えてくれます。
丼、鉢、碗これらの器の多くは日常的に使われている気取らないものです。けれどもそこにはその土地で培われた、土や釉薬、人びとの仕事があります。私たちの食から生まれ、また食を育んできた器たちは毎日の気兼ねのない食卓にも確かな豊かさを与えてくれます。
2024.10.4 Fri - 2025.4.3 Thu
日々の飯碗
茶の湯の文化によって芸術性と鑑賞性を高めた茶碗に対し飯碗は、毎日使うものだからこその耐久性と日常性を大事にしています。中に装うものが変わらないからこそ、その日の気分で飯碗を選ぶ気ままさがあってもいいものです。
駄知丼
美濃焼の産地のひとつである土岐市の駄知は日本有数の丼の産地です。丼ものは室町期に僧たちが飯のうえに食材をのせた精進料理「ほうはん」が原型とも言われ、江戸時代にはせっかちな職人に気取らず食事をかきこめる手軽さから重宝されました。
美濃のすり鉢
美濃焼で作られるすり鉢は実に様々な形に溢れています。調理器具と盛り鉢にもなる多用途性を併せ持ち、手軽に料理の幅を広げてくれる器です。食器としてのいでたちも兼ね備え、台所から食卓まで幅広く使うことができます。