#040 図案のトレース

電気、ガス、水の通っていない小さな農村。 刺繍を刺す前の、布地に図案を写す作業も身の回りのものを使って行われます。

まず、トレーシングペーパーの上に図案をのせ、柄に沿って針で穴をあけておき、それを布地の上にのせます。
ランプについたスス、オイル、洗濯粉を混ぜた黒い液体を布に含ませ、図案に勢いよくこすりつけます。すると針穴から色が通り、一瞬のうちに布地に点々模様の下絵が写ります。
下絵は、刺繍の後に洗いをかけると消えます。
何度も布地に図案を写すため、ぼろぼろになるまで繰り返し使われます。

たくさんの人の手からつくられるカンタは、同じ図案を刺していても、ステッチの幅や密度などにはそれぞれの個性が表れます。
手仕事ならではの味を、是非お手にとってご覧ください。