#258 蓋付容器
台湾で『燉盅』と呼ばれる蓋付容器は、煮込み料理に最適な道具として親しまれています。
台北から車で1時間半ほど行った苗栗県で生産されている蓋付きの煮込み鍋。昔から形を変えないまま、台湾国内の土を使って作られている鍋ですが、今では1工場で生産されるのみとなってしまいました。
料理店に行くと、熱々のスープがこの鍋に入って、テーブルにでてきます。保温に優れた陶器製の鍋は、少しくらい放っておいても全然冷めません。台湾の酒『高梁』を飲み、ついつい話が盛り上がっても大丈夫なのです。
家庭では、1家に1台は必ずあるといわれる『万能炊飯器』を使って、蒸し料理や煮込み料理が作られます。きのこと鶏肉のスープ、衣笠茸のスープ、薬膳スープ、スペアリブの煮込みなど、料理のバリエーションは様々です。また、徹夜や体調を崩した時、お母さんがこの鍋を使って作るスープが、今でも忘れられない記憶として残っているという人もいます。
台湾の人達にとっては、おふくろの味を思い出す、心にも暖かい鍋です。