#164 信州 冬「薪ストーブを囲んで」
三谷さんのギャラリー「10センチ」には、薪ストーブがあります。小さくてもこれだけで充分暖か。ピリリと厳しい寒さのこの日、薪ストーブのそばで、木のブローチをつくりました。彫刻刀で木を削ったり、絵筆を持って色を塗ったりする作業は久しぶりという方がほとんど。夢中で取り込むうち静かに時は流れます。その間も薪ストーブの中ではオーブン料理が進行中。ネギや椎茸など信州の冬野菜がじわじわと焼き上がっています。
この日10センチに展示されたのは、蕎麦の道具や、養蚕、諏訪湖漁業の古い道具たち。三谷さんと無印良品松本店スタッフが探した信州の生活の道具を会しました。
場所:松本市 「10センチ」
料理:冷水希三子
島るり子さんの8寸皿
"島さんがまだ柏崎に住んでいた頃、営んでいた自然食品店で僕のものを取り扱っていただいていたので、ご挨拶に訪ねたことがあります。それは、冬の夕暮れでした。初対面なのに親切にお宅へ招いてくれて、夕飯までご馳走になりました。その時の島家の美しい暮らしぶりと、若い頃作ったという粉引きの器が、強く印象に残りました。僕の好きな白。粗い土に、まったりとした柔らかな化粧土がかかった、粉引きでした。
それから島さんは信州・伊那に家族とともに移住し、しばらくして子育てのために休んでいた陶芸も再開しました。
島さんの器は、島さんの作る料理と同じだといつも思います。どちらも勢いがあって、美味しそうなのです。何をやってもその人が出る、作家にとってある意味怖いことであり、嬉しいことでもあります。"
※文中の" "内は、三谷龍二さんの文章からの引用です。