#229 備前焼
岡山から東へ電車で40分、伊部駅を降りると代々続く備前焼の窯元が軒を連ねています。 背後は丘になっていて、自然の斜面を利用して登り窯が築かれています。 備前地方では古墳時代から平安時代にかけての須恵器窯跡があり、現在の備前焼の源流とされています。 近隣で採れる灰色の土を昔ながらの方法で時間をかけて粘土にし、ひとつずつろくろで成形します。 釉薬をかけず高温の登り窯で焼き締める原始的な製法で、窯の中で温度と火の当たり方によって生まれる模様は全て表情が異なります。 窯元のひとつでは春と秋、年に2度の窯焚きの際一度に2000点あまりの器が焼き上がります。 窯元を継ぐ若い作家は、土の手触りが気持ちいいから焼き物づくりをずっと続けていられる、と話します。 日々土と火と向き合うくらしが数百年、代を替え続いてきました。
【備前のばら寿司】
高温で焼き締める備前焼の窯焚きは10日間におよび、昼夜を問わず薪の量、窯の温度を見つめ続けます。 窯焚き専門の職人が24時間出入りするため、職人をもてなす食事として一皿で手早く栄養がとれるようたくさんの具材を盛り込んだばら寿司がつくられました。 酢でしめたさわらや蛸、海老、穴子など豊かな瀬戸内の海の幸が贅沢に盛られています。 窯元の女将さんは窯焚きの間、早起きをしてばら寿司を仕込んだそうです。
材料:米・酢・砂糖・具材(さわら、大蛸、イカ、小海老、レンコン、かんぴょう、たけのこ、高野豆腐、インゲン豆、椎茸)
①素材ごとに酢でしめる、甘辛く煮るなど下味をつけ酢飯に混ぜ込む。
②小皿に盛って大きな具材を盛りつける。