#068 リネンの色
リトアニア北部にある最も古い歴史を持つリネン工場でつくられたクロスが届きました。紡績から縫製まですべての行程をひとつの工場で手がけています。工場内は何台もの機が稼働して、熱気にあふれていました。ジャガード織の織り機は糸が響き合い、まるで大きな楽器のようにも見えます。インテリア用の広幅の生地が豊富につくられていて、3mもの幅を織ることもできます。機械の力を使いながらも、最後は人の手と目で、丁寧に仕上げられています。
リトアニアはフラックス(亜麻)の良質な産地として知られています。フラックスはヨーロッパ各地で栽培されていますが、リトアニアリネンは他よりも大きく育つといいます。リネンはリトアニアの伝統であり、常にくらしと共にありました。繊維はもちろんのこと、種子をサラダやパンやスープに入れて食し、オイルは木製品の仕上げにも用いられます。
リトアニアリネンの魅力のひとつは、朽ちた木肌のような美しいグレーの色合いです。自然そのままの色は、毎年天候によって異なるのだそうです。洗うたびに馴染み、自分のものとなっていく過程をお楽しみください。