#093 日本の布をめぐる旅 3
コーデュロイ
静岡県御前崎市の岬から浜名湖あたりまで40kmほど続く海岸沿いは、遠州産地と呼ばれ、多くの機屋さんがあり、綿の夏物は浜松、ウールなど冬物は尾州という産地の分け方があったと言われるほど、日本でも有数の綿織物の産地として知られています。 この産地にコーデュロイが入ってきたのはおよそ100年前のこと。今では海外生産のものも増えましたが、日本でつくられるコーデュロイのほとんどが遠州地区で生産されています。この地区でつくられる生地は、これがコーデュロイ?と思うほど薄く、軽く、やわらかい風合いが特長です。畝をつくる時に緯糸をカットする技術もすばらしく、今となっては複雑な組織の柄をカットできる職人が数少なくなっているそうです。カットの工程を丁寧に教えてくださった星野さんは、特別に研いだカッターを操りカットした複雑な柄の生地を誇らしげに見せてくださいました。今回紹介するパッチーワーク柄のコーデュロイも星野さんの手により、やさしくかわいらしい表情に仕上がっています。