#098 日本の布をめぐる旅 7
注染
東京都足立区、手ぬぐいをつくる注染の工場を探し民家のある通りを行くと、屋根ほどの高い位置から真っ白なさらしや色鮮やかな生地がいくつも垂れ下がり、青い空を背景に気持ちよく風を受けてなびいていました。工場の隣には川が流れています。震災があったため、今はきちんとした堤防がつくられましたが、その昔はこの川で生地を泳がせ、洗いの工程を行っていたそうです。明治時代の終わりにはじまった染色技法の注染は、生地の表と裏が同じような見え方に染まるのが特長です。型彫りから糊つけ、染色、洗い、といったそれぞれの工程には担当の職人がついています。工場内では若い職人さんをよく見かけました。熟練した腕のいい職人から、若い職人へ技術が受け継がれる世代交代の時期。すばらしい技に職人を目指して修行にくる方もいるそうです。職人の手により、リズムよく進められる一連の作業には目を見張るばかりでした。