#239 小久慈焼
岩手県北東部、久慈市にある小久慈焼の窯場。約200年前に地元久慈で採れる粘土と釉薬を使い焼物を作り出したのが起源と言われています。飴釉と、籾殻の白い灰釉の質実な表情が特長です。冬場は寒さがとても厳しく、作陶するには決して適した環境とは言えません。粘土が凍ってしまうため土を電気毛布で保温しながら作業をしています。下嶽さんがこの仕事を始めたのは25年前。最初は営業から始め、次第に器作りにも取り組むようになり、ひと通りのものを作れるようになるのに15年ほどかかったそうです。代々受け継がれてきた伝統を守りながらも、あくまでも器は誰かが使う日常のもの。気づいたら毎日使っているような器を目指して、使う人の声を大切にしながら作り続けています。
【北限の民窯】
盛岡から車で二時間半。青森の県境にも近い海沿いの町、久慈市に工房を構える小久慈焼は北限の民窯とも呼ばれています。約200年前からこの一軒の窯場で作陶を続けており、明治時代に民藝運動家、柳宗悦によって高く評価された器は、日用の雑器として地元の人々に親しまれてきました。