#241 山形の蔓細工・藁細工
山形県最上地方の雪深い農村では、寒さの厳しい冬の農閑期、山で採れる樹皮や蔓などを使って、暮らしの道具を自ら作っていました。日本が高度経済成長を迎えるまでは当たり前だった暮らしの文化は形を変えながらも今に受け継がれています。子供の頃から身近にあった蔓細工を20年ほど前から始めた伊藤さんの仕事は、材料を採集するところからはじまります。毎年春先にご主人と近くの山に入り、山葡萄やあけびの蔓を採りに行きます。それを1年間乾燥させた後、作るものに応じた太さや長さになめし、様々な編組品を生み出しています。高級な蔓細工のかごを作るより、もっと暮らしに身近なものを作りたいと日々製作をしています。
山形県真室川町の稲作、畑作を営む農家の5代目として生まれた高橋さんの藁細工。材料の稲藁から自分で育てています。地元の町役場に20年以上勤める中で気がついた地元の宝を継承していこうと、役場を退職し藁細工をはじめました。子供の頃からおじいさんがつくる注連飾りを見よう見まねで作っていたそう。藁細工は稲作をしている地域どこにでもあるものの、地域によってつくりも用途も違う。その地域特有のものをつないでいきたいと、農業を本業にしながらも精力的に技術や知識を伝える活動もしています。昔から冬場のコミュニケーションのツールにもなっていた藁細工。いずれそのように皆で集まり藁細工をする場がつくれたら嬉しいと語ってくれました。