このシャツをMUJIとみなすのはちょっとつらい。しかし僕にとっては仲間なのである。僕はちょっと昔から（多分20年くらい経つのかなあ）東北の様々な場所をドライブするのが趣味というか楽しみの一つで、今も続いている。主には、ひなびた温泉を巡ったり、桜や梅の花を巡ったり、秋の紅葉を訪ねるのだが、昔から続く名物を食べ歩いたり地方の地酒も無論、楽しみの一つである。そのうちに、生来の骨董好きから各地の骨董屋巡りもそれに加わって、旅の楽しみが増えている。そうしたうちで、陶器でもなく書画でもなく、古布に目がいくようになった。古布でも所謂女性の美しい衣類ではなく、お百姓さんが作業着として着用していた絣や刺し子である。東北の大地とあいまって、僕にはとても魅力的に見える。今見つける事の出来る多くは、殆どが擦れたり破れて継を当てている。多分、二代三代と使用されたのだろう。何回も何回も補修されたものも多い。多分、そうやっても着続けたのはもったいないという気持ちよりも、更なる美しさが人に伝わったと僕は思っている。こうした古布で作ってみたのが、このシャツである。